畦野物語紙芝居(川西市立小学校里山体験学習バージョン) <語り手:泉 説也>

■1 旅立ち:
天皇の命により、采女3人(凛,藍,柚)が平城京を出発し平野村へ向かいます

昔昔、奈良時代と言われる頃、今から1200年も前のお話です。
その頃の日本は天皇を中心した国づくりがなされており、都は今の奈良市にあり、
今の中国(当時は渤海(ぼっかい)と呼んでいました。)との交流がありました。
ある時 その国からお客様を迎えることとなり、
そこで大きな宴会をすることとなりました。
宴会では縁起のよいカシワの葉に料理を盛って、おもてなしするのが習わしでした。
それを葉盤(ひらで)といいますが、たくさんのカシワの葉が必要です。

天皇に仕える女の人を采女(うねめ)と呼んでいました。
天皇みずから川西出身の采女・凛(りん)に、カシワの葉を採ってくるよう命じた
ところからこの物語は始まります。

「凛よ、聞くところによると お前のふるさと川西には立派なカシワの樹が沢山生えて
いるそうですね。里帰りも兼ねて、ご両親にも逢えるし、おもてなし用のカシワの葉を
採って来てくれませんか。」と、
またさらに
「凛は植物や動物について、大変よく勉強していると聞いています。藍(あい)と
柚(ゆう)の2人は、一度も都から出たことがありません。2人とも連れて行き、
いろいろと教えてやってください。」と言われました。

凛は18歳の女の子です。小さいころからふるさとの川西を離れ、
奈良の都で天皇に仕えていたのでした。

藍と13歳、柚はまだ12歳の女の子です。
凛は一時的でもあれ、ふるさとに帰れることがうれしくて
喜んで「承りました」と答えました。

凛は2人を呼んで「川西行き」を伝えると、藍は
「なんで私たちが行かなければならないの?」と言い
「ほかにもたくさんの大人の人がいるじゃない」と柚も言います。
2人とも川西という、聞いたこともないような田舎へ行くのが嫌だったのです。

凛は「そう言わないで、行ったらいろいろ勉強できて、きっと将来行ってよかったと
思う時がくるから・・・」と2人に言い含めながら急いで出発するのでした。
3人の采女の、川西・黒川への3ヶ月の旅・ さあ どんな旅となるのでしょう!


■2 多太神社:
多太神社にて集まった村人たちに天皇の命を伝えます

5月初めに都を出発して 現在の大坂を通り、猪名川沿いに北に進み、鴨神社・
小戸神社にお参りして、鼓滝を通って平野の多太(たぶと)神社までやってきました。
多太神社は今も平野の駅の近くにある由緒ある神社です。
凛は村人を集めて言いました。
「私は凛と言います。この村の出身です。幼い頃から村を出ていましたのでわかりません
よね。都で采女として、天皇に仕えています。」
「天皇の命でここに神聖なるカシワの葉を集めに来ました。どうか皆さんご協力のほど
よろしくお願いいたします!」

村人はかつてないことだったので、驚いてざわつきました。
「天皇に使ってもらえるとはとても光栄なことじゃが、ここにはカシワの樹はなどないが
な。なにかの間違えじゃねえですか。」
ほとんどの村人がうなずいています。

「そんなことはないでしょう、立派なカシワの樹が沢山生えてると聞いてますよ。」
藍が大人ぶって村人たちを静まらせようとします。

「宴会の時のお皿に敷く葉っぱの事です。こちらではカシワの葉をそのようには使わない
のですか。」
柚も負けじと発言します。

「それはカシワじゃなくて、ナラガシワだね!」
後ろの方から大きな体格の少年が大声で言いました。

「あなたは誰ですか?」
「おらの名は健(たける)。ナラガシワなら、たくさん生えているとこ知っているよ。
 使ってるところを見たことはないけど、ナラガシワなら料理をのっけやすいはずだ。」
 健は背が高くてイケメンの16歳の村の若者です。

「きっとそれだわ!」凛が言いました。
「カシワとナラガシワ。地方によって呼び名が違うか、伝え間違いにちがいないわ。
見たらわかると思うわ。」

凛たちは、健の案内でナラガシワを見にいくこととなりました。
ところが 藍が突然、
「お腹がすいたわ。そのナラガシワの葉を集める前に何か食べたい!黒川の美味しいもの
で何かありませんか。」と言うと

村人たちは笑いながら、ちまきを用意してくれました。
「このちまき、ササでくるんでないのね。」
柚は村人が差し出した、ちまきのようなものを指さして言いました。
この村では、ツルヨシの葉でもちをくるんでイグサを巻いていたのでした。

「誰かナラガシワの葉を持ってきて!」
凛はツルヨシの葉を餅からはがして、村人が持ってきたナラガシワの葉で巻いて蒸すよう
に言いました。
「やっぱりそうだわ。ナラガシワで包むと、ナラガシワの芳しい香りが移ってよりおいし
く感じるわ。
みんなも作って食べてみて!」と言いました。

この時から黒川では、ナラガシワとツルヨシのちまきが作られるようになり、今でも端午
の節句になると黒川の今西さんというお宅で、同じものが作られています。

■3 かしわを探しに:
建といっしょにカシワの生息地へ

4人は健の案内で、ナラガシワの樹が生えている牧場(まきば)にやって来ました。

「これだよ。たくさんあるだろ!」健は言いました。
まさにそれは凛たちが都で使っていた葉っぱでした。

「そうね、これに違いないわ。さっそく集めましょう!」
凛たちはせっせと葉っぱを集めていきます。
健は慣れたもので、手際よくナラガシワの葉を採っていきます。

「実はね・・・。」と健は凛に言いかけました。

「実はわしは、毎年これを採って都に送っていたんだよ。村の人も、凛の言うカシワは
ナラガシワだと気付いていたと思うよ。
でもあんたたちが本物の采女かどうか、確かめたかったんじゃないかなあ。だってあまり
にもあんたらが幼いから・・・でも、あの子かわいいね!」
それを聞いて 柚は顔が赤くなりました。

この牧場は、天皇の命を受けての采女たちが来られた名誉な土地として、この後ここの
地名を「うねめ」と呼びようになりました。
やがて「うねめ」がなまって「うねの」と呼ばれるようになっていきました。それが
今の畦野です。
(畦野ってどこかわかりますか。能勢電車の畦野駅のあたりです)

■4 一庫への旅:
タデを噛んで辛さに耐えきれず川の水を飲む采女たち

「お腹すいた・・・!」
さっきちまきを食べたばかりなのに、今度は柚がまた言い出しました。

「しょうがないわね。じゃあこれでも噛んでなさい。少しはお腹の足しになるかも・・」
凛は2人に、河原に生えている葉っぱをつんで渡しました。
「こんなものがおいしいの?」と言いながらも、ひと口ふた口噛んでいくと、
「ぐええ!」
2人は大声を出して吐きだしました。

「かっ、辛い!」
ハアハア言いながら、あわててそばを流れている小川に口を漱ぎに行きます。
この時代の川はとてもきれいで、川の水を飲むことができたのです。

「驚いた?これはタデという名の野草で、噛むと辛いでしょう。こんなに辛いのに、
このタデが好きなハムシという昆虫もいるので、
 『蓼食う虫も好き好き』という諺ができたのよ。」
勉強になった?

「ひ、ひどいよ、凛姉さん。辛くて辛くて、ほら顔も真っ赤になっちゃったでしょう。」
柚がハアハアいいながら怒りました。

「あれ、柚、顔があかくなったのは、健がいるからじゃなかったの?」
凛はそう言って柚をからかいました。藍がそれを聞いて、横で微笑んでいます。

「柚、それより恥ずかしいから凛姉さんて呼ぶのはやめてね!凛でいいから・・・。」
と言いました。

■5建への恋心発動?:
オオクワガタに人差し指を噛まれた柚を機転を利かせ助ける建

「凛姉さん。このあたりの樹は背の高さくらいで皆切ってあるけど、何でなの?」
柚が黒川に来て、ある樹を見て言いました。
「また言った、凛姉さんて言うのはやめてって言ったでしょう。これはね台場クヌギと
言って炭を焼くのに使う木なの。切った場所から何本も細い枝が出てるでしょう、
これで炭を焼くのよ。」

(ここで台場クヌギと炭の話をしてください)
クヌギいう樹は幹を切っても、次々と新しい芽を出すことに気が付いた村人たちは、
どんぐりから育てるよりはるかに短い期間で、炭焼きに適したクヌギが取れる事に
気ついたのでした。こうすれば鹿に新芽を食べられることもないという事で、この地域の
伝統となり現在も引き継がれています。ドングリから育てるのと比べると半分の期間
(約10年)で炭の原木となります。

「台場クヌギは木の蜜が多いので、昆虫もよく来るわ。ほら、そこにオオクワガタがいる
よ。」
それを見た柚は、うれしくなって捕まえようとしました。
「痛たっ!!」
柚はオオクワガタに、指をはさまれてしまいました。「痛い・痛い・痛い!」と大声を
だして無理やり引き離そうとしますが、取れません。痛がる柚を前にしても、凛も藍も
どうすることもできませんでした。
すると健が柚の手腕を掴み、クワガタの顔に向かって、思いっきり息を吹きかけました。驚いたことにそれだけで、オオクワガタは指を離してポトリと地面に落ちました。

「クワガタに挟まれたらこうすると離すから・・・覚えといて!捕まえる時はね、
こうすれば大丈夫だから・・・。」
健は親指と人差し指でクワガタを捕まえて、かごに入れました。
柚は健の頼もしい姿に、いつの間にか痛みを忘れておりました。
クワガタがゲットできてうれしいのか、それとも・・・
凛と藍は顔を見合わせて微笑んでいるのでした。

「クワガタに興味があるみたいだから、今日はナラガシワの葉を採るのをやめて、
虫捕りの日にしようか。たまにはいいだろ。」
健たちはここでオオムラサキやカブトムシなどいろいろな昆虫を、沢山捕まえるので
した。
(ここでオオムラサキの説明)
オオムラサキとは国蝶に指定されている大きくて美しい蝶で、準絶滅危惧種にして
されています。幼虫はエノキの葉を食べて成長するのでエノキが無いと生活できません。冬場に枯葉を処分ると越冬している幼虫も一緒に処分されてしまうので、今は山間部に
しか見られなくなっています。

■6 多太神社のセミ:
神社の森で突然ウイーンと大きな声で鳴く蝉にびっくりする凜たち

凛たちが黒川から多太神社に戻る時、ブクブクと泡が出る川の水を発見しました。
平野水と呼ばれる炭酸水です。飲むと最初はビックリしますが、爽やかな気分になり
ます。
1200年前の天然のサイダーです。

(ここでその説明)
現在は平野にコーナンというお店がありますが、ここはかつて平野温泉として知られて
いました。多くの二酸化炭素が水に溶け込むと、飲み口がさわやかな味となります。
この平野では地下からこの炭酸水が取れていたのです。当時はとてもさわやかな水と
感じられていたようです。

多太神社は静まりかえっていました。当時の村人たちは神社の森は神様が宿っていると
考えていて、「鎮守の森」と呼んでいる神聖な場所なのです。

「カナカナカナカナカナ」と、どこからともなくセミの悲しそうな鳴き声が、聞こえて
きます。
江戸時代の俳人松尾芭蕉は
「静けさや 岩に染み入る セミの声」という有名な句を残していますが、まるでセミの
鳴き声が岩に沁み込んでいきそうな荘厳な静けさです。

4人は思わずその静けさに吸い込まれそうで、自分の身体が森の中に溶け込み、森と一つ
になったような不思議な感覚となり、しばらく立ちすくんでしまいました。

柚は川西にきて本当に良かったと、心から思うのでした。

■7 出会いの妙桜:
エドヒガンサクラの大木に出くわし「タエザクラ」と名前を付けます

翌日、今度向かっているのは妙見の森です。山頂にはブナの林があると聞いています。
崖地には3種類の桜があって、花が咲く時期がそれぞれ違います。
凛はある一本の桜の大木を、見つけました。そのあまりに雄大な姿に、妙見の森の妙
(みょう)、一文字だと「たえ」と読めるので、その名前をとって妙桜(たえざくら)
と名付けることにしました。エドヒガンと言われる種類の桜です。
妙見の森にあるエドヒガンの大木は「出会いの妙桜」と呼ばれるようになりました。
(ここでエドヒガンの説明)

エドヒガンは日本古来の野生の桜の一種で兵庫県版レッドデータブックCランク、群落と
してはBランクに指定されている貴重な桜です。現在の東京付近を江戸と呼んでいた時代
に、旧暦のお彼岸の頃開花するのでエドヒガンと名づけられました。黒川以外では水明台
にも群生しています。光の当たる傾斜地でないと育ちにくいと言われており、川西では
4月初めに開花します。エドヒガンは個性が強くて木の姿も花の咲く時期もそれぞれ違い
ます。幹の縦縞も特徴です。
一方でソメイヨシノはエドヒガンとオオシマサクラの子どもの関係にあり、咲く時期も
一斉なのでクローン桜と呼ぶ人もいるくらいです。

■8ヒメボタル:
ブナ林でホタルに囲まれる凜たち

健が言う明るい森はブナの森でした。ここは妙見の森の山頂です。
夢中になって植物や昆虫をさがしているうちに、あたりは暗くなってきました。

「今日はここで野宿するか。」と
健が言いました。明るかった森もさすがに夜になると暗くなります。
するとどこからともなく黄色い光が、無数に飛び交うようになりました。

「あれ?ホタル? 川がないのになぜホタルがいるの?」
ホタルの事もよく勉強している凛は、不思議に思いました。

「これは陸にいるホタルだよ。森にいるからモリホタル、いや若い娘のあなたが見つけた
のだから、ヒメボタルと呼びましょうか。」
健は勝手なことを言いました。
(ここでホタルの説明)

ホタルと言えば5月から6月にかけて川のまわりで見られることがほとんどで、ゲンジボ
タル
が、よく知られています。それ以外に陸上の湿地で過ごす陸生のホタルもいます。

幻想的なホタルの光を思う存分楽しんだ後は、たき火を囲んで持ってきたおにぎりの簡単
な夕食たべました。
凛は藍も柚もすっかり黒川の自然になじんできたようなので、今まで勉強してきたことを3人に語りかけることにしました。

「藍・柚、川西に来てよかったでしょう!オオクワガタといい、ホタルといい都では体験
できないことが沢山経験できましたね。でももっと大切なことは、ここにはたくさんの植
物や動物がいっぱい暮らしているという、そのことそのものが重要なのよ。
なぜかわかる?例えば私たちは毎日ごはんや野菜やお魚を食べて暮らしていますよね。
もしお米や野菜ができなくなったら、どうでしょう。そうです、わたしたち人間も生きて
いけなくなります。例えばキュウリやナスビは色々な昆虫が花粉を運んでくれるからでき
るの。昆虫がいなくなるとキュウリもナスビもできなくなってしまうのよ。
こんなふうに、普段気が付きにくいけど、いろんな生き物が繋がり合ってこそ人間も生き
ていけるの。そんな黒川って、とてもステキな所なのよ。」
と凛が丁寧に説明していきます。

藍も柚も健まで、凛の話に感動しています。藍と柚は凛のように勉強したいと強く感じる
夜て゛した。

■9 歌垣の祭り:
歌垣の祭りの夜

夜が開けて今度は猪名川の屏風岩、柏原の棚田を経て大野山の山頂へ、そして倉垣にたど
り着きました。

この日の夜は歌垣の日だと村人から聞かされました。歌垣とは若者たちが夜にみんなが集
まって歌って踊って食べる風習の事を言います。それだけではなく、一年中で一度だけ好
きな人に告白できる日、今のバレンタインデーのような日でした。
柚はそれを聞いて、何か運命的なものを感じました。秘かに健とのことで期待しました
が、凛に、「あなた達はまだ子どもなんだから、祭りの中には入らずに、みんなの歌を
記録してこの地方の風習をしっかり勉強してね。」と言われ、思わず「エッ」と思いま
した。

■ 10松明に焼けた恋心

夕方、村の人に聞いた薄暗い道を健の持っている松明の灯りを頼りに、4人は山の中に
入っていきました。
初めての山道なので手探りで進んでいきます。
ブナの林の中、先頭を歩いていた柚が、突然足元の木の根につまずいて、思わず倒れかけ
てしました。すぐ後ろにいた健は突然柚が倒れかけてきたので、とっさに松明を持ってい
ない方の手で柚を支えました。柚が手に持っていた記録の紙が宙に舞います。

一瞬何が起こったかわからなかった柚ですが、気が付けば健の腕の中にいました。見上げ
ると健の顔がすぐそこに見えます。驚くと共に、何ともいえない思いに胸が熱くなるのを
感じました。松明の灯りに照らされて、柚は今までにないくらい顔が赤くなっていました。
凛と藍は思わず顔を見合わせて、これも何かの定めかと自分のことのように幸せな気持ち
になるのでした。

松明にヤママユガが飛んで来るのを見て、我に返る柚でした。
凛は散らばった柚の持っていた記録用の紙を松明の灯りを頼りに、
ひろい集めています。
ふとある用紙に目が留まりました。なんと、柚の健への想いが和歌となって書かれていた
のでした。
凛は何もなかったかのように、他の用紙と一緒に柚に手渡しました。

■ 11別れ:
村人たちとの別れ

とうとう別れの日がやってきました。
帰る準備をすませた凛は、お世話になった健に一冊の記録帳を渡しました。
そこにはこの3ヶ月間のこの地域の植物や昆虫、特産物のことがぎっしりと書かれていま
した。
柚は、すかさず自分の持っていた大事な筆を健に贈りました。

凛は3人を代表して、村人たちに別れの言葉を贈りました。

「ここ黒川は都では決して見られないような 豊かな自然が沢山の凝っている、素晴らし
い所です。このようなすばらしい 自然に囲まれて暮らしている皆さんは、たいへん幸せだ
と思います。
ふるさとの自然を守り続けることは、訪れる人すべての心を和ませるだけでなく、全ての
生き物の命を育んでいくことにもなっています。

このような自然の大切さを、子供達にもぜひ教えてあげて下さい。
ふるさとを思う心、ふるさとを大事にする気持ちを、子供達に伝えてください。
遠く離れていても、私がふるさとを深く愛しているように・・・。

皆さん長い間、本当にお世話になりました、ありがとうございました。お元気で」

藍と柚も涙を流しながら、村人たちに別れを告げました。
健は涙をこらえて3人に向かって言いました。

「今まで当たり前だと思っていましたが、私達のふるさとがすばらしい所だとよくわかり
ました。猪名川流域の自然をさらに調べて、村人にも知らせていきます。子供達にも伝え
ます。でもまだわからないことが多いので、是非来年もナラカシワの葉を採りに来て下さ
い。柚さん、来年も一緒に虫を採りに行きましょう。本当にありがとうございました。」

それを聞いた柚は歌垣山の出来事を思い出し、涙がとまりませんでした。

さあ出発です! それぞれが熱い思いを胸に、3カ月ぶりに都に帰ります。